
2022年、空き家になってしまったオバァの家を
「家族や親戚が泊まれるように整えて、別荘にしよう!」
と思い立ち、計画が始まった「インジャミヴィラ」は、
2025年2月28日(金)付けで、正式に旅館業の許可を取得いたしました。
図々しくも(笑)「インジャミヴィラ」という名前だけ先に決めてしまい、
2022年9月3日にInstagramのアカウント(@injamibase)も開設し、
今までの経緯を投稿し始めてから約3年。
正確には、2年7ヶ月と13日が経っていました。

オバァの家の遺品整理から始まり、片付けだけでも想像以上に大変で、
帰省の合間を縫っては何度も足を運ぶ日々が続きました。
関東在住のため、直線距離で約1500km。
もちろん、インジャミヴィラの為だけでは無いのですが、
約3年間の間に15回も沖縄と関東を往復していました。
気がつけば、「帰省のついでに片付けてるのか、片付けのために帰省してるのか…
もはやどっちがついでか分からない」なんて状態に(笑)
ようやく片付けに目処がついた頃、今度はリノベーション業者の選定や打ち合わせ。
それと並行して、消防設備の設置や旅館業の申請手続きなど、
ひとつひとつに多くの時間とエネルギーを要しました。

物理的距離、限られた滞在期間、調整しづらいスケジュール。
思うように進まず、心身ともに疲れ果てて、何も手につかない時期も⋯。
「やりたいこと」「やるべきこと」「費用」
この3つの間で頭を悩ませつつ、ふと我に返って——
『…なんでこんなにお金使ってるんだっけ?』と苦笑いしたこともありました(笑)
そんな中、空き家の存在に気づいた方や、
「宿泊施設になるらしい」とウワサを耳にした方から、
何度か「貸して欲しい」とお声がけいただくことがありました。
それによって気づいたのは、
「謝名城に住む・滞在すること」の難しさと、
同時に、それを望む人が意外と多いという事実。
「観光」とはまた違う目的で訪れる人たちの
助けになれるような場所にするには、どうすればいいか。
そこでたどり着いたのが「紹介制の貸別荘」という形でした。

当初は、「本格的に宿泊施設として運営すれば、うまくいけばちょっとは儲かるかも?」
なんていう淡い期待も、ほんのり持っていました(笑)
しかし、話を進めていくうち、かつては「嫌で嫌でたまらなかった」この静かな土地と、
そこに暮らす人々の営みを、「邪魔したくない」と強く思うようになりました。
そして、その思いを貫き通すためには、
「儲けたい」という気持ちは手放さざるを得ないというのも理解しました。
多少なりとも資金を投入しているため、認めるには勇気が入りました。(笑)
ただ、綺麗事抜きで言うと……
「本格的な宿泊施設の運営って、いろいろ面倒そうだな」と思ったのが、
一番大きな理由かもしれません(笑)
現地に住んでいない自分が責任を持って運営するのは、やはり限界があります。
だからこそ、“家族で対応できる範囲”でゆるやかに続けていきたい。
そんな考えから、紹介制という選択に至りました。
母曰く、「忙しくなりすぎるのも困る」とのことです。
心配しなくても、ならないと思いますが(笑)
周辺には、すでに素敵な宿泊施設がたくさんあります。
だからこそ、競合するのではなく、
地域の方のお力になれるような“隙間産業”を目指したいです。

また、謝名城には、たくさんの空き家があります。
この取り組みが、「ちょっと掃除してみようかな」と思える、
一つのキッカケになれたら——少し図々しいかもしれませんが、
あえて言葉にしてみました。
「住む場所さえあれば戻りたい」——そんな声が、
きっと地域の皆さんのもとにも届いているのではないでしょうか?
私のような行動は、ちょっと思いきりがないとできないかもしれませんが⋯(笑)
沖縄県内にいらっしゃる方なら距離的なハードルはぐっと下がりますし、
行動に移しやすい環境にあるんじゃないかなと思います。
ちなみに今年(2025年現在)、謝名城には3世帯が新たに加わるそうです!
地域の方々からは「嬉しいね」「楽しみだね」と、喜びの声ばかりが聞こえてきます。
人が増えて賑やかになるって、それだけで嬉しいことなんだなと改めて感じました。

ところで、皆さんが祖父母・両親・友達に会える機会は、あと何回あると思いますか?
「会いたい」「何かしてあげたい」と思った時には、
もうその相手がいない——そんな可能性も、時が経てば少しずつ増えてきます。
私は、比較的よく帰っている方ですが、
聞こえてくるのは「◯◯は、なかなか帰ってこないよ」という、ちょっと寂しそうな声。
それを聞くたび、地元を出た当事者として、やるせなさを感じます。
「インジャミヴィラ」が、誰かとの再会のきっかけになれたなら——
こんなに嬉しいことはありません。
まだまだ至らない点も有ると思いますが、
地域の皆さまのお力をお借りしながら、少しずつ、
この場所を育てていけたらと思っています。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
2025年4月16日
柳田 友里恵